学校のエントランスには、様々な本が置いてあります。本校がユネスコスクールなので、SDGs関連の本が置いてあったり、1階が中学生のフロアなので、少し読みやすい本が置いてあったり、一方で、私が読んでいるような哲学・思想関係の本が置いてあったりと、本棚を見て回るのが楽しみになります。このことがまさに、ネットで読みたい・買いたい本をリニアに探し出す行為と、本棚をランダムに見ているうちに思わぬ本と出会ってしまうという行為の違いを語ってくれているのですね。私は古本でしか手に入らない本を買う時以外は、ほとんどリアル書店に足を運んで自分の目で確かめて本を手に入れます。買いたい本が特にない場合でも、書店に寄ってから家に帰ることが多いです。
そして、本校のエントランスには大判の絵本も置いてあります。2019年、新校舎がオープンになったときに、すぐにNHKの報道番組が取材に来てくださり、テレビで報道されることもありました。学校教育法では、校舎には図書館・図書室を備えなければならないとされていますが、本校では校舎全体が図書館という扱いをしています。各フロアにテーマを設定して書籍を並べています。その様子を見られて、多くの方が肯定的に捉えていただいているのですが、たまにこういうご意見をいただくことがあります。「中学・高校に絵本を置くなんて、レベルが低くて不適切ではないですか?」匿名のアンケートに書かれている内容ですので、お答えのしようもないのですが、私なりの考えをこのブログに記しておきます。
「絵本=レベルが低い」という捉え方自体が私の考えと相容れません。具体的な一冊の本についてレベルが低いかどうかという議論は可能でしょうが、すべての絵本がレベルが低いというのはどう考えても納得できません。この写真に写っている絵本、いかがでしょうか? エリック・カールさんの『はらぺこあおむし』、お読みになられたことはあるでしょうか? とても想像力を掻き立てられ、いつもはちょっと気持ち悪いなんて思っている「あおむし」に親近感さえ湧いてくる絵本です。もちろん、子どもが読めるようにはなっていますが、大人が読んでも楽しいし、写真に写っている特大本で読めば、なおさら迫力もあるし、一般のご家庭であまりこんなサイズの本を置いておられないですよね。本校のイベントに参加された方の中には、まだ小さな弟さんや妹さんがいらっしゃることがあり、一緒に学校に来られたものの、イベントは退屈なので、こういう絵本を読んで時間を過ごされることも多いのです。残念ながら、エリック・カールさんは数年前に亡くなってしまいましたが、彼の本を楽しんでくれる方がいらっしゃれば、天国からあの何とも言えない素敵な笑顔を見せてくれるかもしれませんね。ご来校いただいたときに、ぜひ特大本の絵本をお読みになってください。