創造コース1期生 卒業プロジェクト

 2022年度に創設された本校の創造コースの1期生が高3となり、本日は茨木市の「おにクル」をお借りして、卒業プロジェクトの発表会を実施しました。

 おにクル、私は初めて行ったのですが、素敵なデザインの建物で、卒業プロジェクトにはうってつけの場所でした。幅広い年齢層の方が訪れていて、人が集まることで何らかのパワーが発揮されていくような、「人が集まるというのはいいことだなあ」と思わせてくれる建物ですね。最上階から見る茨木の市街地や北摂の山並みも、私の心を落ち着かせてくれました。

 創造コース1期生の生徒たちは、それぞれが自分なりのアートやデザインの手法を用いて、見学者に語りかけてきました。展示のスペースでは、作品の主が近くにいて説明したり、こちらの質問に答えてくれましたし、創造コースでの学びを映像作品や音楽として表現してくれたり、ライブパフォーマンスとして、直接私たちの目の前で自身の身体を介してメッセージを送ってきてくれたり。ああ、こういうことって、一人一人の生徒の顔がちゃんと見える教育の成果なのだと改めて感じました。大人たちが心配する「進路」についても、「こういうことをしたいので、こういう進路を考えています」と明確に答えてくれます。学外の方に学校のことを語るときには、「数値化」されたものを求められることが多いです。~大学に何人合格したか、~大学の指定校の枠は何人あるか、本校の偏差値ってどれくらいか(そもそもここで使われている偏差値って何のことでしょう?)、英検2級以上に何人合格しているか、などなど。数字というのは、何かの特徴をつかむために、例えば学校なら一人ひとりの生徒の顔が見えなくなるということと引き換えに示すものです。私たち教員は、少なくともそれを覚悟のうえで「数値化」するという行為をしなければなりません。時間が限られている中で、「客観的に」何かを示したり、判断したりする必要に迫られたときに、数字を使います。そのことをどれだけ意識して、数字を使っているのか、また、それによって見えなくなっている生徒のことをどんなふうに観察し、評価しているのか、それらは私たち教員だけではなく、大人たちの課題でもあると思います。

 そのような課題に対しても、教育の本質に正面から向き合うコースとして、また、私学の独自性という言葉が使われる割には、どこも同じことをやっているように見える私学教育に対して、本校なりの考えをはっきりと示したいという思いを持って進めてきた創造コースの1期生が半年足らずで卒業を迎えます。生徒の話を聞いていますと、意外にも(私は正直、意外に思ったのです)、創造コースへの入学は、保護者の方が背中を押してくださったご家庭が多いようです。どちらかというと、生徒自身が希望しても、保護者の方が心配して、他のコースへ導かれるのではないかと考えていた私は、心からの感謝の気持ちが湧いてきました。本校の教育に対する理解・期待・信頼があってこその入学。生徒たちが笑顔で卒業式を迎えられるよう、教育活動に邁進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。