中学
スクールライフ

【中1】1学期中間プロジェクト

プロジェクトという取り組み

本校の「めざす生徒像」を紹介します。
学びの土台として「多様な視点」「教養」を育み、「経験」や、人と何かを「創造」する過程を通じて、正しく自己の「価値観」を形成し、他者とともに「倫理」ある文化、社会を形成する、真のリーダーを育成する。

自分(たち)や社会のために学び続ける姿勢を育み、自律した学習者になってもらいたいという、大きな目的の元に立てられました。すべの子どもたちが、勉強から学びへ、画一的な教育から個々を見守る教育へ転換することで、安心して楽しんで学ぶことができる。その先にある世界だと考えています。

ワクワク感や学びに対する渇望感などをを中心におき、経験、リフレクション、気づきのサイクルを多く回したいと思っています。すべての教育活動でそれを意識したい。

その手段の一つとしてとして、学びの個別化、協働化、プロジェクト化、リフレクションの融合が必要で、それぞれが独立するのではなく、融合された状態が大切であるということです。

これらの実現に向けて、今年度の中学1年生より、まずは定期考査や一律の宿題のやり方について見直し、形態を変更することをはじめました。
決して定期考査や宿題の形態が変わったことで、勉強をしなくてよい、楽になったというものではありません。

定期考査というシステムは、「テストのために学ぶ」「人より良い点数を取るために学ぶ」「怒られないために学ぶ」、高校生であれば「欠点を取らないために学ぶ」という理解を子どもたちに与えてしまっています。また、テスト前だけ勉強するという習慣にも繋がってしまうと考え、本校がめざしたい方向性や目的の達成、社会への接続には程遠いシステムになってしまっているのではないかと考えています。教育において、これは長きにわたっての大きな課題でした。

したがって、定期考査や一律の宿題を、日常的なアプローチや単元ごとのテスト、また単元テストに再チャレンジすることができる制度、協働的な授業設計、定期考査に代わるプロジェクト、創造的な課題などに変更することとしました。

今回は、本校のめざす生徒像を実現する上で軸となると言っても過言ではない「プロジェクト」の取り組みについて紹介していきたいと思います。

1学期中間プロジェクト「ことば」

今回の1学期中間プロジェクトのテーマは「ことば」です。国語×英語×探究のコラボレーション・プロジェクト。ことばの捉え方にもう少し敏感になることで、今後の授業をもっと面白がれるのではないかという思いがります。ことばをただの記号として理解するのではなく、その背景にあるものを想像したり、同じ言葉でも感じ方は人によって違うことを実感したりと、いろんな活動が待っています。

前半の2日間はたっぷり活動

活動①「ことばROOM」:部屋など、その空間にあるものを先に捉え、そのものの状態を観察して書いてきてもらいました。例えば「ケーブルに刺さってる」「充電器」、「3日に1回洗う」「コンロ」、「まだ咲いていない」「あじさい」という感じ。ものに対する解像度を上げていきます。

活動②「出会ったことない組み合わせ」:状態とものを分けてカードに書き、状態だけをランダムにいろんな人と交換していきます。すると、「ケーブルに刺さってるあじさい」「3日に1回洗う充電器」「まだ咲いていないコンロ」など、これまで出会ったことのないフレーズを面白がりながら、想像力を働かせます。

活動③「感じる、五感でことば探し」:今度は大学校舎内をペアで歩き回り、気になったものを探し、それについて五感と想像力を働かせ、書いていきます。「どんな音がでそう?もしくは出てる?」、「それ食べてみて(想像)。どんな味がする?」、など普段は使わない感覚で完成を刺激します。

活動④「オノマトペ日記」:1日をオノマトペだけで書いた日記を課題に出しました。それをペアの相手に読みながら共有し、面白がっていました。

活動⑤「オノマトペVERB」:今英語の授業で動詞(VERB)をやっているので、いくつ出てくるか思い出してみました。そして「その動き」やその動きから「自分の心がどう動くのか」ということを、オノマトペで表現してみました。ただの言葉から躍動感が生まれるのを感じたんじゃないかなー。

活動⑥「感じる、五感オノマトペでことば探し」:大学校舎内で、落ち着く場所を見つけてじーーっとそこに5分、身を置いてみる。絶対に1人で行動すること、これがルール。探したもの、そして何を感じたのか、五感とオノマトペをフル活用しました。

全てを紹介することはできませんが、身体を使って使って感度を高めた2日間でした!

後半は振り返り、表現する

体験、体感することから学びは始まります。その活動にはどんな意味があったのか。自分なりの意味を見出すことで、知識は生まれていきます。学びを自分のものにする第一歩がすでに始まっています。

後半では、しっかり振り返ること、またみんなと対話することで深まるということを実感していきます。気づいたこと、学んだことを言語化し、最終的にどのように表現するのか、アウトプットの時間に入ります。

活動①「リフレクション祭り」:今回のプロジェクトの本質は、ここにあったなと思っています。場面を絞って今回学んだことを2-3分で書く。そして2組のペアで共有し、話し合う。ペアをどんどん変えて、色んな人と共有する。また違う場面で学んだことを書き、共有する。これを1時間繰り返して、気づきや学びを深めていきました。

活動②「感じる、五感オノマトペでことば探し」:さて集大成です。今の感度で「ことば」を探しにいきます。五感のどの感覚を使ってもいいし、オノマトペで表現してもいい。校舎内を歩き回り、お気に入りのことばを探しにいきました。

活動③「ことばconnection」:拾ってきたことばたちの中から、3-5個を組み合わせて、好きな順番で並べてみる。しっくりきたら、それが今回の成果物です。そのフレーズにどんな感性と意味が込められているかは、聞いてみないと分からないですよね。形になったら、それを媒体にコミュニケーションが生まれ、つながっていきます。

活動④「墨で表現」:大学校舎付近に落ちている枝や枯れ葉、木片などを拾い、筆にしようというコンタンです。墨汁をつけて、まずはどんな線が生み出されるのか落書きしてみることに。そして自分のフレーズを画用紙に書いて、完成。

活動⑤「落書き大会」:3-4人のグループを作り、各グループに1枚の模造紙を。部屋には25枚もの模造紙が出現。好きな色のクレヨンを持ち、線を描く。「ブォーン!」の線は?好きに線をかいてみて!今度は直線!音楽に合わせて線を描く!丸を3つ!目を出現させて!三角書いて!「プチプチプチ」の線は?とお題を聞いては描く。そして移動して別のグループの模造紙へ。これを3-40分繰り返し、自分のグループに戻ってきたときには落書きのキャンバスが出来上がっていました。

活動⑥「グループで絵画作品を作成せよ!」:みんなで作成したキャンバス模造紙を見て、気になる箇所を3枚分ちぎって手元に。それを素材に、A3の画用紙にグループで話し合いながらレイアウトを考えて貼っていき、絵画作品の土台を作りました。その上から全員分のフレーズを描けば出来上がり。額に入れて鑑賞できるようにしました。この作品を見ては「ことば」のことを思い出してもらえるといいなーという想いで。