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現状維持はNG!!
個性あふれる同級生が自分の動力源。
私が追手門に進学した理由は「ここに行けば、なりたい自分になれるかもしれない」と思ったから。というのも、高校生になるまでの私は周りに流されるだけの人間でした。そんな自覚があったから、この学校が掲げる『独立自彊・社会有為』という理念に惹かれたのかもしれません。実際に入学してみると、同級生たちのパワーに圧倒されて、自分の個性が薄れていくような感覚になることもあります。でもだからこそ「私もあと少しだけ、頑張ってみよう」と思えるんです。友だちと話をしていても「この人、すごいな」と感心させられることばかり。ただそれは自分にとって、新しい視点や考え方がどんどん増えるということでもあります。ここにいたら「今の自分のままでいい」とは思えないですね。
私の尊敬する人物のひとりに高村光太郎という詩人がいます。「わたしの手からとつた一つのレモンを / あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ / トパアズいろの香気が立つ」。これは小学生のときに初めて読んだ詩集『智恵子抄』に収録されている「レモン哀歌」の一節です。もちろん映像もなければ、絵も写真も音もないのに、まるで言葉に色があるようにカラフルで、心の機微や情景が浮かんでくるこの作品に感動を覚えました。私自身、言葉で何かを表現したり伝えたりするのがとても苦手です。だから憧れに近い感情を抱いたんだと思います。探究の授業でも言葉以外の方法を用いて感情を伝えるための挑戦をしてきました。たしかに言葉はとても大切なツールですが、ときに人と人とのつながりに隔たりを生んでしまう原因にもなります。だから言語に頼らず、一見、一聴するだけで、国籍や性別、年齢などを超えて伝えられるものを目指して作品づくりに臨んできました。同じ思いから、今はインストゥルメンタルの楽曲制作を試しているし、大学に行ってからも非言語コミュニケーションに関することを学びたいと思っています。
言語に頼らず、
国籍や性別、年齢などを
超えて伝えられるものを。
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幸せを振りまきながら、
変わらない「好き」を追求。
2020年度の後半はコロナウイルスの影響もあって、探究の授業もこれまでとは違ったスタイルの活動をしてきました。それが『いまプロジェクト』。中1から高2までの生徒をランダムに割り振ったチームで進める取り組みです。内容はちぎり絵やチェキ、そしてそれらから紡ぎ出された物語だけで互いに意思疎通を図るというもの。そんな少ない情報だけでも他者がどんな気分なのかが分かった気がするし、思いやることもできます。別々に授業を受けているメンバーなので、直接会うこともないし、名前も知らなければ、年齢も違う。だけど親近感が湧いてきて仲良くなれたような不思議な感覚でしたね。そう感じたのも、作品を通して素直な気持ちのやり取りができたからかもしれません。上辺だけの関係ではなくて、相手の本質を知ることができるコミュニケーションのカタチだったと思います。
私は今まで、何かの競技に打ち込んだり、将来目指すものが明確にあったり、また「自分にはこれしかない!」と言い切れたりするような人に憧れてきました。私はまだそういった自分の軸になるものを見つけられていませんが、とはいえそのことをネガティブには捉えていません。何かひとつに特化していないからこそ、ゲームやテレビ、音楽、アイドル、マンガ……と幅広く興味を持って、いろいろなジャンルの良いところを知っていることが自分の強み。学校でも私生活でも、気になることがあれば、どんどん挑戦して経験してみることを大切にしています。将来のことは分からないけれど、高校を卒業して、周りの環境が大きく変わったときに、それでも「好き」と言えるものを追求していきたいですね。それともうひとつ、変えたくないことがあります。それは私と一緒にいると「楽しいな」とか「笑顔になれるな」と思ってもらうこと。自分が幸せであれば周りも幸せにできると思います。だからこれからも幸せを振りまける人でありたいです!