探究科 座談会その5-後編-

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SPECIAL

2022.05.30UP

変わったことと、変わらないこと。探究デザイナーとしてのこれから。

MEMBER

池谷陽平探究ドライバー

髙木草太探究デザイナー

眞鍋綾探究アーティスト

上月龍太郎探究クリエイター

佐藤佑平探究ストラテジスト

牛込紘太探究キュレーター

仕事もプライベートもNGなし!
今さら聞けない、でも聞けた、髙木草太のこと。

今回の座談会は特別企画。2022年5月から育休に入る探究デザイナーの髙木先生を徹底的に解剖していくために、探究科メンバーがそれぞれに質問を用意しました。授業プログラムを構築するプロフェッショナルとして誰もが一目置く存在、髙木先生の本質はどこにある? 必見です!

収録日:2022年3月3日

Theme1

“クリシンの鬼”は、
どのように人と違った意見をうみ出す?


池谷

前編に引き続き、今回も髙木先生には、メンバーが用意した質問に答えてもらいます。後編は一緒に仕事をしている中で気になることをざっくばらんに聞いていきたいと思います。では牛込先生からいきましょうか。


牛込

僕からの質問は『プログラムをつくる動機はなんですか?』というものです。何をスタート地点としているのかを聞かせてください。


髙木

ほとんどが依頼されることから始まりますね。「こんなプログラムをつくってくれませんか」と具体的な出来上がりのイメージを伝えられる時もあるあし「なんかつくってください」とそうでないこともありますが、いずれにしても基本的にはオーダーされる側だから、能動的につくるということはありませんね。


牛込

つまり自分でプロジェクトの目的を設定することもないってことですか?


髙木

それはないですね。依頼者が何を求めているのかをしっかりと聞いて、ニーズを把握した上で「それなら、こんな内容にしましょう」という提案するのが僕の仕事だから。


牛込

相手の目的を叶えるためにどうするかを考えるんですね。

探究キュレーター、牛込先生は、髙木先生を「メンバーのお兄ちゃん」と見ているようです。


牛込

ではどういう工程を経てつくられていきますか?


髙木

自分の中にいくつも“型”があるので、そこから適切なものを選んでいくイメージです。以前の座談会で「先生もリフレクションをするのか?」という話が出ましたよね。僕の場合、振り返りのようなことはしないけれど、日頃から自分が興味のあることはメモにして残しています。それらをアクティビティやメッセージに変換することで、プログラムづくりにも活かしてきました。


池谷

そのメモに残る情報に傾向はあるの? 例えば特定の誰かが発信しているとか、内容そのものに共感できるとか。


髙木

それは本当にさまざまで、その時々によって受信する情報の方向性や内容は変わります。SNSを眺めていて目に止まったものだったり、家で奥さんと話をしているときに思いついたことだったり。授業で発信する前提で「これは使えそう」「面白いかもしれない」って感じとるためのアンテナだけは常に立てていますよ。


池谷

そーちゃんのフィルターも変わり続けているってことやね。


髙木

そうですね。昔から知っていた情報でも、改めてみたら面白いって感じるものもありますよ。


牛込

なるほど。ありがとうございました!

探究ドライバー、池谷先生は、髙木先生を「カメレオン」と表現しました。


池谷

では僕からも1ついいですか? そーちゃんのことを昔から“クリシンの鬼”やなって思っていて(笑)


髙木

そうなんや(笑)


池谷

うん。いろんな人の話を聞きながら、ポンッて違った視点からの意見を出すやん? こういった座談会みたいな場でも、本質をつくような発言が多いし。だからクリティカルシンキングの鬼やなと。それは意識的にやっているのか、もしくはナチュラルな状態でそうなのか、どっちなの?


髙木

年々、無意識になってきていると思います。というのも、高校生くらいの時は「人と違うことを言わないと」とかなり意識していました。違った意見でないと発言する意味がないし、発言しないならその場にいる意味がないと思っていたから。


池谷

なるほど。


髙木

でもそれって自分のことしか考えていない行為なんですよね。今は周りを見た上で、池谷先生が言ってくれたような発言ができるようになっているのかもしれません。


池谷

高校時代に始めたことが続いていて、今は無意識でかつ周りを見ながらでもできるようになったと。


髙木

はい。一緒にいる人たちに意識を向けながら、なにか有意義な発言ができているということであれば、自分にとってはいい状態だと感じています。

能動的につくることはない。
依頼者のニーズを把握し、
提案するのが自分の仕事。

Theme2

人との接し方もそーちゃん流?
相手によって変わっていく自分。


佐藤

草太さんと一緒に仕事をしていて気がついたことがありました。それは接する相手によって、草太さん自身が変わっているようということです。


髙木

Aさんと話しているときの僕と、Bさんと話しているときの僕が、別人のようってことだよね?


佐藤

はい。実はもともと草太さんって人と関わることに消極的な人だと思っていました。でもそれは僕が積極的なタイプではないから、そんな僕に合わせてくれているんだろうなって。でも逆にガンガンいくタイプの人と関わる時は、草太さんも積極的になっている気がします。だから質問にするなら『人によって接し方を変えていますか?』といった感じでしょうか。


髙木

なるほどね。確かに相手によって接し方を変えている自覚はあります。なぜならそうするのが僕が人付き合いをする上で一番楽な方法だから。「自分を持つ」ことはすごく大事だと思うけど、僕はそれを人間関係の中で出していくのは、すごく苦手なんだよね。


佐藤

それはなぜですか?


髙木

たぶん素の状態で接したときに「髙木先生はこういう人」という高木草太像を持たれることに抵抗があるんだろうね。だから意図的に相手とだいたい同じタイプに寄せることで、なんとなく「積極的な人」とか「消極的な人」っていう印象を抱いてもらうくらいがちょうどいい。

靴のイラストつきで「ビジュアルプライド王子」と評したのは、探究ストラテジスト、佐藤先生。


佐藤

でも相手に合わせて自分も変えるのって、大変じゃないですか?


髙木

いや、合わせるっていうか、その人が楽しんでいる場に、同じ感覚で自分も参加する、みたいなスタンスかな。だからそれをすることにストレスはないし、辛いと思うこともないよ。


池谷

ベースが割とシャイだからね。


髙木

そう。人付き合いは本当に苦手なんだと思います(笑)

探究クリエイター、上月先生から見た髙木先生は「変化」が重要なポイント。


池谷

佐藤先生の質問と近いかもしれないけど、また僕からも1つ。学校でのそーちゃんを見ていると、ぐっと集中している時と、その場を俯瞰して観察している時があるよね?


髙木

そうですね。例えば会議において、1つのコトや状況に集中してしまっている時は、自分の中では比較的よくない状態であることが多いですね。


池谷

なるほど。それよりもフラットな状態で全体を見ながら、意見やアイデアを出す方がいいってこと?


髙木

はい。一人の時はひとつのことに集中している方がいたいんですけど、複数人が集まるブレストなどの場では、それは避けたいですね。その理由としては、柔軟性がなくなっていって、自己完結型の答えしか出てこないから。だからといって思い通りに切り替えができるわけではないので、自分の中で「今はちゃんと人の意見を聞く」とか「今日は自分の意見を通す日ではない」といった感じで、意識的に振る舞っていますよ。


池谷

へぇ。割と強い意志を持って、いい状態をつくろうとしているってことか。じゃあそーちゃんは、自分がファシリテーションをしたり、やらないといけないことを引っさげて会議に参加したりするよりも、いち参加者として来たほうが本領を発揮できるかもしれないね。


髙木

はい。おそらくその方がクオリティは高くなると思います。

1つのコトや状況に
集中してしまっている時は、
自分の中ではよくない状態。

Theme3

そーちゃんのこれからと、探究科に必要な
次なるマインドセットとは。


池谷

2回に渡って、いろいろな質問に答えてもらったけれど、どの回答も興味深くて、さらに詳しく聞きたくなるものばかりでした。個人的に感じたのは、現場の先生でありながらもっと上の階層でチームのことや、探究というものを捉えている印象かな。ということで、最後は髙木先生の今後について、本人の考えを聞かせてください! 


髙木

はい。僕はこの学校に探究科が発足するタイミングに赴任してきて、当時から自分のファシリテーションには自信もあったし、グイグイ引っ張ってきたという自負心のようなものはあります。それもあって前編で話したように上月先生や眞鍋先生のやり方に疑問をいただくこともあったけれど、この2年間で大きく変わりました。他の先生の探究の活動を見る機会も増えたことで今では「僕じゃなくても、すごくいいな」って本気で思えるようになっています。それは探究科メンバー全員のおかげです。


眞鍋

そう思ってもらえたのなら、私たちとしてもすごく嬉しいことですね。


髙木

それに気がついた時に「じゃあ僕はここで何ができるのか」ということを考えるきっかけにもなりました。その結果うまれたのが、自分だけではなくて、僕と一緒に働くことでメンバーにも成長を実感してもらいたいという思いです。

髙木先生に向けて、自身の思いを込めたメッセージを書いた探究アーティスト、眞鍋先生。


髙木

もちろん今でも他の人よりは引き出しの多さに自信はありますけど、やっぱり僕ひとりだけではその数に限りがあるんですよね。だからメンバーのそれぞれから「自分だったらこうします」といった意見がもっと出てきたら、僕もその人もお互いに成長できるし、探究科の総合的なレベルアップにもつながるんじゃないかな。


池谷

うん。そこにまだまだ成長の余地があるはずやからね。


髙木

そう。これまでは僕がつくったプログラムを現場で展開するときに「これはこういうもの」として捉えて進めてもらうことが多かったかもしれません。でもそれだけではなくて、そこから「どんな意図があるのか」「それを実現するための最適なアプローチはなにか」という部分まで踏み込んでもられば、必ず新しい発見があるはずです。だから僕の次の役割としては、プログラムを構築するだけではなくて、そういったマインドセットをチームに浸透させることかなと。だから、これからもよろしくね(笑)


上月

よろしくお願いします! 今度メンバー全員で行く懇親会のゴルフでも、ぜひ一緒に回らせてください!! 授業ではペアを組みたくないって言われたけど(笑)


眞鍋

あ、私も! 草太さん、喜ぶやろな。


髙木

あの〜……。これが記事になるからといって、本当に同じ組にするとか、悪ノリはないですよね?


池谷

いや、その3人は確定やな。


髙木

マジか……。どっと疲れそう(笑)

プログラムを構築する
だけではなくて、チームに
マインドセットを浸透させる。

そーちゃんからひと言

なんか読み返したら、あれ俺って嫌なやつじゃない? って感じです。それを笑って聞いてくれるチームが大好きです。この企画は読んでほしいと言うよりも、是非チームビルディングの一環として導入してほしいと思います。チームに自分をちゃんと知ってもらう。それは自分にとってもチームにとっても働きやすい環境を醸成していくために必須だと思います。事実、この回の後から、今までに増して、このチームが自分を受け入れてくれていると感じられています。笑いながらくらいで読んでもらえるとありがたいです。

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