Theme1
ありのままの自分を表現し、
お互いに認め合うことの大切さ。
僕がこの学校に入学しようと思ったのは、オープンスクールで探究の授業を体験した時。中学までの授業にはいつも“答え”がありましたが、探究にはありません。だからこそ自分らしさを表現できる場だと思ったし、魅力に感じました。また幼い頃から工作が好きで、今でもDIYで棚をつくったり、はんだ付けで行う電子工作などをしたりしています。作品づくりを通じて自分自身の思いを表現したりカタチにしたりする探究の授業は、自分がやってきたモノづくりと似た要素がたくさんあって、楽しみながら取り組めると感じました。
この学校に入学してすぐの頃に、担任だった探究科の髙木先生が発した言葉をよく覚えています。それは「最近の中高校生は周りに合わせるのは非常に得意。でも僕はそれだけではなくて、自分をどんどん表現できる人になってほしい」といったもの。僕自身、追手門に来るまではありのままの自分を人に見せることに抵抗がありました。でも探究の授業を通してそれが少しずつ変化していきます。意見を伝える機会が多く、クラスメイトはそれを真剣に受け止めてくれるし、ポジティブな感想を返してくれる。そんな環境に慣れていく中で、自分を認めてくれる人がいることに気づきました。結果的に人前で話をしたり、プレゼンテーションをしたりするのが苦手だった僕が、この1年半でほぼ克服できたと思います。
中学の頃から「高校生になったらリーダーシップを身につけたい」と考えていて、それを実現するために1年生から生徒会に参加します。2年生になった今年は生徒会長に立候補し、当選。そこから体育祭や文化祭といった学校行事の実行委員会を設立したり、コロナ禍の中でも生徒たちが楽しい学校生活を送れるような企画を考えて実施したりしています。また生徒たちから校則に関する意見を集め、改善案として学校側へ提案し、議論する機会も設けてもらいました。生徒会長という役割は難しいチャレンジの連続ですが、その困難を乗り越えることで成長できていると思います。
難しいチャレンジの連続だけど、
その困難を乗り越えることで
成長できている。
Theme2
ふとした瞬間の「癒やし」が、
社会の課題を見つけるきっかけに。
探究の授業では世の中にある課題を見つけて解決策を考える「アントレプロジェクト」を進めています。僕が取り上げたテーマは「ストレスを抱えやすい社会」について。きっかけは学校の近くの畑が並んだ静かな道を帰宅している時に「癒やされている」と感じたことでした。そこから子どもから大人まで、誰もが日々の暮らしの中にストレスを抱えている現代社会に着目します。たとえば学校の周りの地域は、この数年間でどんどん都市化が進み、大きな商業施設やマンションが並ぶようになりました。そうなると必然的に交通量が増え、渋滞が起こったり、街に光が多くなったり、人が集まってにぎやかになったりします。その結果として、静かでおだやかな場所は少なりました。それがストレスとなり、そうではない場所を訪れた時に「癒やし」を感じたんだと思います。
そういった社会全体の流れを変えることは難しいし、莫大なお金が必要です。そこでなるべくコストをかけず、かつ手軽に誰でも使える手段として、スマホアプリやWEBサービスを考えました。前提となるのは「誰にでもストレスはある」ということ。だからこそ自分のイライラを誰かにぶつけて解消したいという思いが生まれ、最近ではSNSでの誹謗中傷が問題になりがちです。そこで思いついたのが「イライラをぶつける専用のSNS」でした。そこではどれだけ不満を爆発させてもOKで、その発言に対してAIがアドバイスをくれたり、同じ様な不満や悩みを持っている人同士がつながって話ができたりもします。そういう場があれば、日常で感じるストレスは減っていき、都市化を止めることはできなくても、快適な社会は近づくと思っています。
僕は高校を卒業したら教育学部のある大学に進学して、教師を目指す予定です。その理由は僕自身が学校の中のさまざまな体験を通して、成長をしてきたから。もともと運動が苦手だったので、中学でバスケットボール部に所属し、辛くても継続することで克服。高校では人の前に立ったり、リーダーシップをとったりすることにチャレンジをして克服。勉強でも苦手であまり好きではなかった数学も、とある先生のおかげで好きになり克服。そういう挑戦を続けてきたからこそ、今の僕があります。だから将来教師になって「苦手だから」とあきらめかけてしまっている生徒に「好き」「得意」「できる」と思えるきっかけをつくっていきたいですね。