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身体はいつだって正直。
だからそのメッセージに敏感に。
私が所属しているのは『表現コミュニケーションコース』。国語や数学といった一般の教科に加えて、ダンスや演劇にも力を入れるコースです。だからと言って将来的にプロのダンサーや役者になることが目的ではありません。したがって入学した時には、クラスのほぼ全員が初心者。そこから身体を活用した表現活動を行い、それを通して、相手を理解する力を身に着けていきます。そんな中で、私はなかなか自分をさらけ出すことができず、悩んだ時期もありました。その時に支えとなってくれたのは、先輩と先生たちです。思うように表現できない私に優しく寄り添うだけでなく、時には厳しく指導してくれる環境があったから、壁を乗り越え、ここまで成長できたと思います。
表現の授業に取り組む中で、「身体は正直である」ということに気づいていきました。例えば1年生の時には『自画像公演』と呼ばれる、自分の人生を自分自身で演じる公演を経験します。そのストーリーを考えるために、自らを深く見つめ直しているうちに、普段とっている何気ない行動にも意味があるとわかってきました。急に涙がこぼれた時は、無意識にSOSを出している。ふと空を見上る時は、何かを思いだしている。そんな風に、身体が発する小さなメッセージに対して、以前より敏感になれていると思います。また以前、授業の一環で特別支援学校へ行き、そこに通う生徒のみなさんと一緒に表現を楽しむ活動をしました。私はもともと初対面の人と会話をするのがどちらかというと苦手な方。でもそこでは身体を動かしてダンスをするだけで、どんどんと心が通じ合っていく感覚が得られました。言葉だけではなく表情や行動でも十分にコミュニケーションはとれるということを知れましたね。
言葉だけではなく
表情や行動でも十分に
コミュニケーションはとれる
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後悔しないために、顧問と部長を説得。
無理と言われても、諦めない。
私は今、ダンス部と軽音楽部を兼部しています。ダンスは団体競技であり、練習日数も多く、体力的にもかなり大変です。それを主な理由に、本来は他との兼部が許されていません。でもやりたいと思ったことをやらずに後悔することだけはしたくなかったので、ダンス部の顧問の先生と部長を説得し、特別に許可をいただきました。私がいる表現コミュニケーションコースでは年に1度、大きな公演があり、それが近づくと放課後にも練習を行うので、部活動に参加できません。一時期はクラスでの活動と2つの部活、そのすべてをやり切る難しさに思い悩み、辛さを感じることもありました。ただたとえ周りに無理だと言われても、3つとも私にとって大切なものであり、どれも諦めずにやると自分で決めたこと。今ではすべてに懸命に向き合うことができていて、そんな自分を誇りに思っています。
私はまだ将来の夢を見つけていません。ただ音楽関係の仕事に興味があります。構想として頭の中にあるのは、自分が表舞台に立つのではなく、イベント制作などの裏方の仕事。この学校に入って、演じる楽しさや表現する難しさを学んだからこそ、それを支える側になりたいと考えるようになりました。そういう仕事に就くには専門学校に行くのが近道だと聞きましたが、人生の選択肢を狭めたくないという思いもあり、今は大学に進学して、アルバイトとしてたくさんの音楽現場に行ってみたいと考えています。表現コミュニケーションコースで学んだことによって、表情の変化や、体調の変化などを敏感に察知できるようになりました。この知識や能力を、将来的に仕事でも活かせるといいですね。