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美術を嫌いになりたくない。
その思いが環境の変化につながった。
僕は高校で追手門学院に入学するまで、大阪市内にある公立の中高一貫校に通っていました。そこは4つのコースから希望する分野を選択できる学校で、もともと絵を描くことが好きだった僕は美術コースを選択。高校に進んでからも美術を積極的に学んでいこうと思っていました。しかしその考えが変わったのは中学2年生の時。同じ志を持つクラスメイトたちが、それぞれの作品に優劣を付け合うようになり、僕はそれに違和感を覚えます。このままでは大好きだった美術自体を嫌いになってしまう。そう感じて、内部進学することに疑問を抱きました。ちょうどその頃にこの学校の『創造コース』の話を聞き、「自分に合っている」と感じて受験を決心。入学してからはこれまで通っていた学校とはまったく異なる雰囲気やクラスメイトたちの個性の強さに驚きつつも、「自分を表現することが好き」という人に囲まれ、今はこの環境をとても楽しめています。
中学までの僕は、よくも悪くも“それなりにこなす”のが上手いタイプでした。しかし今はまったく違います。結果はどうであれ、どんなことに対しても全力で取り組んだ方が、自分の気持ちも楽になる。そう思うようになり、実際にこれまでより行動力がついていると思います。例えば所属している野球部で、残念ながら大会のメンバーに選ばれなかった時も、そこでふてくされるのではなくメンバーを応援するために選ばれなかった人たちをまとめることに注力。その影響もあってか、部員投票によって副キャプテンにも選ばれました。自ら進んで頑張った方が、手を抜くよりもいい結果になる。それがこれからも大事にしていきたい考え方ですね。
自ら進んで頑張った方が、
手を抜くよりも
いい結果になる
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出会った先生と授業が自分を変えた。
やりたいこと、すべてに全力で。
いま僕が力を入れているのは教材の開発です。探究のプロジェクトの一環として高知県を訪れた時に、地元の人に自分の高知愛について知ってもらうことを目的とした『すごろく』をつくりました。その後、高知県の人に「このすごろくって高知のことだけじゃなくて自分のこともよく知れるね」と言われたのがきっかけで、大阪に帰ってから現在も開発を続けています。『語れるすごろく』という名のこの教材は、他者と比較をしながら自分を知ることができるといったもの。これを用いて高知県の小学校で授業を行ったり、東京で開催された教育イベントで発表をしたりする場を経験し、教育や地域創生に興味がある僕にはとても意味のあるものとなりました。今は、5月に起業の手続きを終え、資金調達のためのクラウドファンディングの準備に取り掛かっています。もちろん学業もあるし、野球部の副キャプテンとしてやるべきこともあるので大変ではありますが、どれも自分が心からやりたいことなので、全力で取り組みたいですね。
「美術を嫌いになってしまうかも」と悩んだ結果として追手門学院の創造コースに進学した僕ですが、今の将来の目標は美術の先生になることです。そのきっかけは、この学校に入って、いろいろな先生に出会い、またたくさんの興味深い授業を受ける中で「自分が楽しいと感じるよりも、他人を楽しくさせたい」「次は自分が誰かに変化を与える立場になりたい」と考えるようになったこと。また探究活動の一環で北海道の網走を訪れ、現地の環境問題に関して網走市長にプレゼンをしたのですが、あれはその後の人生を左右するくらい自分を大きく成長させてくれる経験となりました。同じように人生を変えるくらい大きな経験を、誰かに提供したい。そして一度は美術に嫌気が差した自分だからこそ、教師として教えられることがたくさんある。そう考えたことが将来の夢へとつながりました。