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2021.09.01UP

【追手門探究科は何をやっている?#1】学習指導要領編①

たいそん 探究Driver

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追手門学院中・高等学校「探究科」

追手門学院中・高等学校の探究科は、教科として2020年に発足し、中学「総合的な学習の時間」、高校「総合的な探究の時間」を担当しています。

なので、もちろんそれぞれの学習指導要領に則った学習内容になるわけです。各学年週2時間ずつ設定されており、それぞれの授業プログラムを創造、実践、構築するプロセスにあります。

「総合的な学習(探究)の時間」は学校によって内容は大きく異なるのが現状であり、その解釈はさまざまです。また「探究的な学び」という言葉が出てきて以来、各教科内における探究的な学びと混同して使われることも多く、混乱を招いていることも確かです。

本校の「探究科」がやっていることを少しずつ紹介できればと思います。あくまでも中学校、高等学校の文脈で書かせていただきますので、あしからず!

今回は3回に分けて配信します!この記事は[SECTION1]。いってみましょう。

[SECTION1]日本の学校教育は、何をどのように育成しようとしているのか。
1-1:教育の目的
1-2:学校で何を育成するのか。新学習指導要領「資質・能力の三つの柱」
1-3:新学習指導要領「主体的、対話的で深い学び」で

[SECTION2]中高「総合的な学習(探究)の時間」
2-1:中高「総合的な学習(探究)の時間」の目標
2-2「総合的な学習(探究)の時間」の「資質・能力の三つの柱」
2-3:「総合的な学習(探究)の時間」の「主体的、対話的で深い学び」

[SECTION3]追手門中高「探究科」の考え方
3-1:目標(ヴィジョン、ミッション)
3-2:こんな資質・能力、育成できたらいいな
3-3:どういう方法で?

お馴染みの「オードラポーズ」(O-DRIVEのロゴにちなんだポーズです)

日本の学校教育は、何をどのように育成しようとしているのか。

教育の目的

「何を育成する」ことで教育の目的を達成しようとしているのか、また「どのように」授業などの教育活動を行うことでそれを育成しようとしているのか。今回改訂された学習指導要領を中心に見ていきたいと思います。

その前に、教育の前提となる目的、目標などを制定した法律である教育基本法を見ておくことにしましょう。

教育の目的
第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

教育の目標
第二条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。

 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。

 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。

 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

引用元:教育基本法-文部科学省

学校で何を育成するのか。新学習指導要領「資質・能力の三つの柱」

教育はあらゆる場面で起こるわけですが、こと学校教育について定めた法律には、学校教育法などがあります。それらを基に、学校でカリキュラムを編成する際の基準となるのが、学習指導要領。教科の目標や大まかな教育内容が記載されているので、私たちのガイドライン的存在なのです。

今回の改訂は2年以上に及ぶ中央教育審議会によって議論され、平成28年12月の答申によって方針が示されました。ポイントとなる考え方の1つが「資質・能力の三つの柱」です。(1)「知識及び技能」、(2)「思考力、判断力、表現力」、(3)「学びに向かう力、人間性」で構成されています。

三つの資質・能力を具体的に見てみます。

(1)「知識及び技能」の習得

 資質・能力の育成は、生徒が「何を理解しているか、何ができるか」に関わる知識及び技能の質や量に支えられており、知識や技能なしに、思考や判断、表現等を深めることや、社会や世界と自己との多様な関わり方を見いだしていくことは難しい。一方で、社会や世界との関わりの中で学ぶことへの興味を高めたり、思考や判断、表現等を伴う学習活動を行ったりすることなしに、生徒が新たな知識や技能を得ようとしたり、知識や技能を確かなものとして習得したりしていくことも難しい。こうした知識及び技能と他の二つの柱との相互の関係を見通しながら、発達の段階に応じて、生徒が基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得できるようにしていくことが重要である。・・・(後略)・・・

引用元:【総則編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説中高共通

(2)「思考力、判断力、表現力」の育成

 生徒が「理解していることやできることをどう使うか」に関わる「思考力、判断力、表現力等」は、社会や生活の中で直面するような未知の状況の中でも、その状況と自分との関わりを見つめて具体的に何をなすべきかを整理したり、その過程で既得の知識や技能をどのように活用し、必要となる新しい知識や技能をどのように得ればよいのかを考えたりするなどの力であり、変化が激しく予測困難な時代に向けてますますその重要性は高まっている。また、①において述べたように、「思考力、判断力、表現力等」を発揮することを通して、深い理解を伴う知識が習得され、それにより更に思考力、判断力、表現力等も高まるという相互の関係にあるものである。・・・(後略)・・・

①は「知識及び技能」の習得に関する文面を指します。
引用元:【総則編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説中高共通

(3)「学びに向かう力、人間性」の涵養

生徒が「どのように社会や世界と関わり、よりよい人生を送るか」に関わる「学びに向かう力、人間性等」は、他の二つの柱をどのような方向性で働かせていくかを決定付ける重要な要素である。生徒の情意や態度等に関わるものであることから、他の二つの柱以上に、生徒や学校、地域の実態を踏まえて指導のねらいを設定していくことが重要となる。・・・(中略)・・・
生徒一人一人がよりよい社会や幸福な人生を切り拓ひらいていくためには、主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力や、自己の感情や行動を統制する力、よりよい生活や人間関係を自主的に形成する態度等が必要となる。これらは、自分の思考や行動を客観的に把握し認識する、いわゆる「メタ認知」に関わる力を含むものである。こうした力は、社会や生活の中で生徒が様々な困難に直面する可能性を低くしたり、直面した困難への対処方法を見いだしたりできるようにすることにつながる重要な力である。また、多様性を尊重する態度や互いのよさを生かして協働する力、持続可能な社会づくりに向けた態度、リーダーシップやチームワーク、感性、優しさや思いやりなどの人間性等に関するものも幅広く含まれる。・・・(後略)・・・

引用元:【総則編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説中高共通

教育の目的達成のためには、「資質・能力の三つの柱」を具体的に、バランスよく育んでいくことが重要だということです。自分のため、人のため、社会のために、知識や技能を使って自ら考え、表現し、判断する。言い換えると、そのマインドセット、スキル、知識をどうバランスよく育成するかということかな。

こういう話をすると「それは大学でやるから高校では受験勉強を」という声がよく聞こえてくるし、一方では、受験が激化する中で「学校は社会に閉ざされた空間」などと批判されることも。対極にありそうな両意見の間でコーディネーター不在の学校が右往左往する、それどころではない、これが現状です。

これは受験そのものの問題というよりは、受験を目的に授業が行われ行事を息抜き扱いするような文化が学校にはあり(すべての学校ではない)、その結果子どもたちに、偏差値を基準に行動をさせてしまう大人、社会に問題があるのは明らかです。

入学試験がある限りその準備をするのは当然のことだし、この準備も立派なプロジェクトだと思います。

高等学校の学習指導要領解説には、「受験準備に偏った教育は適当ではない」といった記載があります。今は偏っているということですね。目的達成プロセスに受験も位置付けた上で学校をデザインし直すポジティブな道を模索したいです。

学習指導要領ではなく、教科書に縛られてしまった私たち教員が今できることは何なのでしょうか。

教育改革は待ったなしで進んでいきます。

新学習指導要領「主体的、対話的で深い学び」で

どのように資質や能力を育むのか、その方法について示されたのが「主体的、対話的で深い学び」であり、大きな改訂ポイントの1つとなっています。これは学習過程を改善するための3つの視点です。

これも学習指導要領を見ておきましょう。①主体的な学び、②対話的な学び、③深い学び、についてです。

① 学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという視点。

② 子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているかという視点。

③ 習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているかという視点。

引用元:【総則編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説中高共通

例えば、振り返ることで学びを自分のものにしたり次につなげたりする視点、協働することで多様な考え方に触れ自らの考えを検証する視点、解決策を考えたり、お互いにの考えを基にしながら集団として新しい価値を創造する視点など、講義以外の授業方法が提案されています。

自分がどこに向かっているのか確認するために振り返ったり、偏った考え方で判断しないように協働したりすることは大事だし、これがあると生徒が受験も含めた自己実現に興味を抱ける可能性も高まるかもしれません。

教科、科目、学年によって授業方法が異なるのはもちろんですが、これらの方法をどこにどれだけ実施するかはやっぱり、目的、目標次第です。また、学校によっても、生徒によっても、先生によってもその方法は違うはずです。知らぬ間に、目的を忘れて先生にとって「いい授業方法」を探してしまっている、なんてことはよくあること。

時間と余裕をくれ!!!と叫んでも何も変わりませんが、それでも叫びたい。そんな心情ではありますが、学校が、子どもたちのために、ちゃんと考える時期は改革真っ只中の「今」であることには間違いなさそうです。

それでも喫緊の課題は、先生がこれらの学習方法に慣れていないということ。まずは先生が実践する。それがいいかも。

[SECTION2]中高「総合的な学習(探究)の時間」はコチラ!

[SECTION3]追手門中高「探究科」の考え方はコチラ!

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