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大阪府ベスト16を達成。
急成長する生徒たちに驚き。
私がこの仕事を志すようになったのは、ともに教員だった両親と高校時代にお世話になった恩師の影響。実際に教師となり、自分が勤める学校を選ぶにあたって、3つの条件を設けました。それはまず専門である地理を教えられること、次に野球部の顧問ができること、そして勉強以外で生徒の力になれる生活指導を担当できること。しかしこのすべてをクリアできる追手門にたどり着くまでに渡り歩くこと、実に4校。ほぼ1年毎に転職を繰り返し、ここに来てからは3年が経とうとしています。この学校には先生たちがどんどんと新しいことにチャレンジする風土があり、最初は戸惑いもありましたが、今はいろいろと挑戦できる環境を楽しんでいますよ。
追手門に来て約半年後には、念願だった硬式野球部の指導を任されるようになりました。とはいえコロナウイルスによる休校のタイミングだったので、なかなか対面での練習ができません。それでも「1回戦を勝てるかどうか」と言われていたチームが、21年の夏の大会で大阪府のベスト16に勝ち上がるまでに成長しました。短期間で急激に上達し、自信に満ちた表情でプレーするようになった選手たちには、間近で見ていた私が一番驚かされましたね。こういった変化は決してスポーツに限った話ではないと思います。学業や趣味にだって、生徒たちが自身の強みや個性を発見するトリガーがたくさんあるはず。私たち教師はそれを見逃さないように、生徒の変化に敏感でありたいですね。
強みや個性を発見する
トリガーを見逃さないよう、
生徒の変化に敏感でありたい。
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これまでのやり方はリセット。
生徒がより主体的に学ぶために。
探究の授業を担当するようになったのは2年前から。最初に授業の内容を知った時は「自分がやってきたことを、すべてリセットしなければ」と思うほどの衝撃を受けます。一方で、これまでの教師人生では得られなかったスキルをたくさん学ぶことができたのも事実です。中でも明らかに変わったのが授業時間の使い方。それまでは『政治』や『経済』といった生徒たちにとって難解な内容を「なんとかして覚えさせないと」と必死になっていたように思います。その結果、50分間に渡って私がしゃべり続ける日も珍しくありませんでした。しかしそれが今は平均するとたった15分ほど。説明は手短に済ませて、残りの時間で生徒が主体的に学ぶためのワークを取り入れるようになっています。生徒たちも座学だけだった時に比べて、生き生きとした表情で授業に臨んでくれるようになりましたよ。
社会科の授業を担当する上で、私がもっとも大切にしているのが“生活観”です。例えば政治経済の授業には「金融」というテーマがあります。これは16歳の生徒たちにとって、身近とは言えない上に、受験でもあまり重要視されない科目。しかし将来的に必ず役に立つものですよね。そもそも「社会=暗記」というイメージを持つ生徒が多く、それが故に嫌悪感を抱かれがちです。その意識から抜け出してもらうために、可能な限り“生活”と照らし合わせて、授業内容を理解してもらう工夫をするようになりました。つまりは教科書どおりにお金の流れを説明するのではなく、実際に住宅ローンを組むロールプレイングをすることで、販売価格に応じた利子や返済にかかる年数、銀行の仕組み、そして家を買うということが生活にどういった影響を与えるのかなど、さまざまなことに目を向けてもらっています。そのように今後経験するであろう生活の一部を再現することで、自分たちの暮らしと社会科の授業を結びつけて考えてくれると信じていますよ。