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覚悟を感じ、転職を決意。
真剣に取り組む楽しさを生徒たちに。
私は教育大学を卒業した後、堺市にある学校で4年間働き、2019年に追手門学院へと転職してきました。決め手となったのは、新校舎をつくるということ。「新しい教育を実践する!」と謳う学校は他にもたくさんあるのですが、「校舎を建て直す」っていうのは、ものすごい説得力ですよね。もちろん莫大な費用がかかることですし、そういう意味でも覚悟を感じました。また採用面接で、人間性を重視していることが伝わり、そこに共感できたというのもあります。
実際に働き始めて感じるのは、現場の教師に任せられる領域が大きいということ。たとえば昨年、赴任して1年目にもかかわらず、体育祭の運営を任せてもらい、「知徳体を実現する」というテーマのもと、生徒たちと一緒に体育祭を作っていきました。その時は、実行委員長となった生徒が「運動が得意でない人も楽しめるものに」と提案してくれて、それまで体を使うものだけだったのが、頭を使う競技を導入したり、誰でも踊れるダンスを作ったりしながら、大成功を収めたんです。生徒たちもとても楽しんでいましたね。とてもいい思い出です。
私には教育者としてそれほど大きな野望みたいなものがあるわけではありません。しかし真剣にやることの楽しさだけは、生徒たちに感じてもらいたいと思っています。しかしたとえば文化祭や体育祭などにおいて、それはとても難しいと感じていて。というのも「何かに真剣に取り組む」というのは、生徒たちにとっては少し恥ずかしいこと、もしくはカッコ悪いことなんですよね。でも真剣に取り組んだ方が楽しいことに大人になってから気づくのは非常にもったいない。私自身も学生時代にその楽しさに気づいておけばよかったと思うところがあります。だからこそ、できるだけ生徒を巻き込んで、真剣に、そして楽しくものごとに打ち込んでもらいたいですね。
真剣に取り組んだ方が
楽しいことに大人になってから
気づくのはもったいない。
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自身の部活動での経験を活かし、
受験以外にも応用できる力を養う。
私が授業をする上で意識しているのは「チームで問題解決に取り組む」ということ。そもそも私は学生時代を部活動に捧げた経験があります。たとえば高校時代は陸上部。「陸上」って個人種目というイメージがあるかも知れません。しかし当時の私が体験した厳しい練習を、仲間がいない状態で乗り越えられたかというと、絶対に無理だと思います。チームで取り組むからこそ頑張れるし、「勝ちたい」「乗り越えたい」という気持ちも強くなる。また「仲間には迷惑をかけられない」っていうプレッシャーを背負うことで、結果的に知らない世界までいけるんだと思います。それを部活だけではなく、授業でもやりたいと思って。
具体的な例を挙げると、数学の授業においても4人でひとつのチームを組み、その中で話し合いをしながら問題を解いていくという方法をとっています。そうすると、たとえば予習をしてくるように伝えても、普通だとやってこない生徒がいるのですが、チームを組ませると、みんながやってくるんですよね。なぜなら生徒たちは先生に怒られることより、チームのメンバーに迷惑をかけることを嫌うから。
もちろんチームの中で議論し合っても分からない時には、先生に質問をしてもいいことにしています。しかし私も簡単には正解を教えません。なぜなら最短距離で答えに辿り着いても、意味はないので。生徒たちもそれを理解しているから、4人でずっとディスカッションを続けています。そうやって仲間と協力して問題を解決へと導くことができるようになっておけば、必ず受験以外のことにも応用できる力になりますからね。