学校長×洋菓子メーカー「五感」浅田社長OB
スペシャル対談

  • 追手門学院中・高等学校 / 学校長
    木内 淳詞
  • 五感 / 代表取締役社長
    浅田 美明

追手門学院のOBである有限会社 五感の浅田美明社長をお招きして、校長と対談していただきました。

新校舎ご覧なられた印象はいかがですか?

今年63歳になりますが、私が小学校・中学校、高校時代を過ごして来た時のイメージとは大分印象が変わりました。いい意味で「個性を伸ばしていける」環境というのはこういう感じなのかなと思いました。街にも溶け込んだ学校で図書室も校内色んなところに図書が陳列されていて、とてもユニークだと思いました。追手門学院さんが目指される教育の入り口、一端を垣間見られたような気がします。

この学校を建てる時にも様々視察に行ったりしたのですが、「こんな教育をしたい、こんな力をつけたい」という部分が先にあり、それを実現するための校舎という考え方で作っていきました。なので、現場の先生方のアイディアがたくさん詰まった校舎になっています。各階にティーチャー・ステーションがありまして、これはナース・ステーションから着想を得ているのですが、先生方の多くがそこにいてフリーアドレスのようになっていて、生徒が話をしに来ます。これにより、保健室の利用も激減しましたね。
外観も特徴的です。「スマートパレット」という愛称なのですが、船のような曲面を生かした建物です。

宇宙船のようですもんね。

正直だいぶお金かかっていますが、四角い箱ではなく、ここだから通えるという生徒もいるんです。色んなタイプの子が集まってきて、楽しく学校に通える。そして、大学行って終わりではなく、社会に出て活躍する基盤作りは最低限していきたいと考えています。

学生時代から起業家を目指している子も今は多いですよね。大学って、卒業してからの人生観を考える期間ですもんね。一番大切なことは、学校出てから自分の人生にそれをどう結びつけるかということだと思います。

その通りだと思います。学校で学んだことは何の役にも立たないとおっしゃる人もいますが、私に言わせると、それは結びつけようとしていないだけなのではないかと思います。授業の内容も、ただの知識の習得ではなく、生活に結びついて知恵になるように、自分たちのより良い幸せな生活に結びつける教育が大切だと言っています。

卒業生ってかなりいらっしゃいますよね?卒業生の中でも様々な活躍されている方々がいらっしゃると思いますが、同じ学校出身というだけで、親近感が湧きますよね。学生の頃は、お世辞にも優秀な生徒ではなかったので、歴代の先生にもかなりお世話になったのですが、卒業してからの交流というのは高校時代の学友が、一番仲が良く、今も繋がっています。

「追手門」の繋がりや関係性を皆さん、大事にしてくださっているのが特徴かもしれませんね。

話は変わりますが、我が校には、「独立自彊・社会有為」という教育理念がありますが、五感の経営理念や大切にされていることなどお聞かせいただけますか?また、学生時代の経験が生かされていると感じることはありますか?

僕は学生時代優秀でもなかったですし、部活も卓球部で当時あまり目立たない存在でした。それこそ、野球部やラグビー部などは花形で盛り上がっていましたが、その当時、卓球はそこまで注目もされていませんでしたから、部活の話もそんなにしませんでした。ただ今振り返って思うのは、チームプレーって必要だし、大切だということですかね。

実は親もお菓子の卸を営んでおり、子供の頃から手伝わされていました。親父は昭和初期の人間ですから、「親父の言うことは絶対」というような家庭環境でした。ですので高校の頃は、絶対にお菓子屋はやらないと思って大学にも行かせてもらっていたのですが、そのうちに会社経営が厳しくなったこともあり、家族を助ける形で自然とこの業界に入りました。後から考えると、神様がそういう環境を与えて自分に色々な経験をさせてくれたのかとも思います。それが、五感にも繋がっていきました。

社是に「一を持ってこれを貫く」というのがありますが、真心からの思いやりですね。人々に思いやりを持って接していけば、結果人のためならずなんですよね。人が喜んでくれることをしていけば、自ずと結果はついてくる。それが少し分かるようになってきたかなと思います。「隣にいてくれる人が喜んでくれることをする」を大前提に、「美味しくて喜ばれるお菓子を作ろう」「心の豊かな人を育てよう」「お客様・従業員はじめ、地域の幸せづくりに貢献しよう」「そして皆で成長しよう」を基本方針にやっています。

私は大阪出身ですから、「和の京都、洋の神戸」と言われ、大阪の菓子の評価は低かった時代に、「大阪の菓子屋」をしようと思った。そんな時にご縁やタイミングも重なり北浜のあの場所で五感本店を開くことになりました。これからの時代は、「ブランドの個性」を打ち出していくことが大事だと思います。そういう意味では、学校さんも同じかなと思います。今日見せていただいて「自由でチャレンジング」な心意気を感じました。そういうのがないと学校も発展していかない。菓子屋もただ菓子を陳列するのではなく、自分自身の生き様も含めてきちんと表現しないといけないという思いで、やっているところです。

今日の話を聞いてますます五感のファンになったような気がします。
それでは最後に後輩たちへメッセージをお願いします。

そうですね、得意なことを伸ばしてくださいということですかね。私は数Iで躓いた人間ですから(笑)。自分の好きなものや個性を伸ばしていって、体育でも忍耐強さでも何でもいいと思います。大学に行くのが目標じゃないし、卒業後に何に将来なりたいのか。その夢も変わったっていいと思います。でも夢を持って生活して欲しいですね。あとは友達を大事にしてくださいと言いたいです。やっぱり友達・仲間が一番ですね。あとは、学校で先生とコミュニケーション取ったり、学校生活を目一杯楽しんで欲しいですね。

友達大事にするのも、まさに追手門ですよね。今日は本当にありがとうございました!